こんにちは、世界を旅する犬猫写真家、新美敬子です。今回は香港国際空港のある大嶼島(ランタオとう)の2つの町、ムイウォ(梅窩)とタイオー(大澳)を訪ねます。
ムイウォには古い町並みの通りがあり、食料品や雑貨などを売る店と食堂が軒を連ねています。その通りでさっそく何匹かの猫と出会いました。
この猫は、シッポの先を曲げるのが癖のようです。気に入らないことがあるとシッポを振る猫がいますが、この猫は長いシッポを自慢したいのではないか、と思いました。
翌日、猫が椅子の下から顔を出しました。あとで気づいたのですが、前の日に出会った、シッポの先を曲げる猫でした。同じ猫だと気がついていたら、もっとシッポをちゃんと撮ったのにと悔やまれます。
同じ猫だと気づかなかったのは、毛の色が薄く見えたからだし、第一、表情がものすごく違っています。昨日は椅子の上で威張ったような態度だったのに、今日は「このおばちゃんを知っているよ?」と親しげな眼差しです。猫って、本当に不思議な生き物です。
ムイウォ(梅窩)は、ランタオ島の東海岸に位置し、香港島のセントラル(中環)とフェリーで結ばれています。空気がきれいで喧騒はないので、ムイウォに住んでここから香港島へ通勤する人も少なくありません。
ここを流れる銀川の上流にはかつて銀鉱山があったことから、ムイウォが面する海は、銀鉱湾(シルバーマインベイ)と呼ばれるようになりました。一歩町の外に出ると水牛など野生動物の姿を見ることができます。
生花と園芸の店で、猫草も売っています。店のおかみさんはよほどの猫好きとみえて、店に町の猫が遊びに来ると、猫草を2、3本与えていました。この猫も猫草待ちでしょうか。
米屋さんの裏口です。「香港では、食品を扱うたいていの店に猫がいるけど、米屋は特に猫とは切っても切れない縁がある。猫を配備してない米屋なんてないんじゃないかな?」と、店主が猫を自慢しながら話してくれました。この店では同じ家系の猫が代々、米をネズミから守っているのだそうです。
こちらの猫は、近所の犬が店の前でたむろしないように見張っています。店から冷房の冷気が流れてくるので、犬たちが集まってきてしまうのです。
アイスクリームの冷蔵庫の前も涼しいのでしょう。いいところを見つけました。
商店と商店の間の物置スペースも猫の休憩場所となっています。
ホテルの従業員用通路に近い塀の上です。ときどきおやつをくれる調理人の出勤を待っていました。
静かな入江に沿って銀鉱湾泳灘(シルバーマインビーチ)があります。「犬は入ってはいけません」と横断幕が掲げられていました。
おやおや。犬は入ってはいけないよと、犬に言ってもだめですか。
いや、ちゃんと注意してくれる犬がいました。ビーチに面したホテルの犬です。ビーチを走り回る犬たちを見て、「ウォ!」と声を出していましたが、チャウチャウくんの警告に耳を傾ける犬はいませんでした。
集合住宅の中庭で猫たちが集まっていました。これから猫の集会がはじまるのでしょうか。あたりが暗くなるにつれ、さらに猫がふえましたが、近寄ったりせずに互いに距離を保っている集団でした。
西から夕陽が照りつけると夕凪が終わり、やさしく海風が吹いてきます。顔を埋めて寝ていた白くんが頭を起こしたので近づくと、きれいなオッドアイで、思わず引き込まれました。
白くんは、「もう家へ帰る時間だ」と、ゆっくりと去っていきました。
ムイウォとは反対側、ランタオ島の西海岸にあるタイオーの猫たちはこちら。ハンモックで寝ていた猫、寝返りで体がずれて目が覚めてしまった
ランタオ島近くにある2つの離島、長洲島と坪洲島の猫たちはこちら。
2年前にも見かけた衣料品店の2匹の猫、ひもでつながれているのはなぜ?
タビー模様の猫は熱くなった体を冷やすため、「猫の開き」のような姿に
※ムイウォへの行き方
香港国際空港へは羽田、成田、中部、関西、福岡、那覇など10以上の空港から直行便が出ています。羽田から香港への飛行時間は、4時間あまりです。
香港国際空港からムイウォまでは約20kmあり、タクシーで約30分、バスで1時間あまり(本数は多くない)です。香港島セントラル(中環)のフェリーターミナルからムイウォまでは高速船で約35分。