TNR事業を開始 喜界町、野良猫対策を強化 捕獲業務委託、不妊手術助成 喜界町
鹿児島県喜界町は2023年度から、野良猫の繁殖制限を目的に不妊手術を行う「野良猫TNR事業」を開始している。民間団体のボランティアに依存してきた野良猫の捕獲や不妊・去勢手術費用を助成。町を挙げて野生化した猫(ノネコ)の元になる野良猫対策の強化を図っている。

 TNRは猫を捕獲(Trap)して不妊・去勢手術(Neuter)後に元の場所に戻す(Return)試み。手術をすることで繁殖を制限するほか、発情期の鳴き声や尿によるマーキングを抑制し、病気予防にもつながるという。

 
喜界島では19年から、奄美いんまや動物病院(龍郷町)の伊藤圭子院長(45)が2カ月に1度の出張診療の際に不妊去勢手術を実施している。野良猫の捕獲は猫の飼養環境の改善に取り組む地元の団体「にゃんだふるらいふ」(中山亜沙美代表)が、ボランティアで行ってきた。

助成事業開始以前の23年3月までの手術件数は792件で、年間約200匹に上る。費用は飼い主や野良猫に餌付けしている住民負担が原則だが、「にゃんだふるらいふ」が団体の運営資金から工面することもあったという。

 町は今年度、当初予算に193万円を盛り込んだ。野良猫の捕獲は「にゃんだふるらいふ」に業務委託。1頭当たりの手術助成費用は雄3000円、雌5000円で、雄、雌各50頭の計100匹分の予算を確保した。

 今年度実施した不妊・去勢手術件数は112件。うちTNR関連は47件と、費用助成で想定した頭数の約半数に達している。

 中山代表(39)は「これまでボランティアで活動してきたことを思えば、町の支援は大きな進歩。手術費用の助成があることで、多頭飼養で飼育環境が崩壊している人に手術を勧めやすくなった」とTNR事業を歓迎する。

伊藤獣医師は「ボランティアありきで野良猫対策を継続するのは限界があり、行政的な支援は大変ありがたい」と町の対応を評価。一方で「離島では高齢者による多頭飼育が問題になっている。ヘルパーや民生委員など、高齢者世帯の猫の飼養環境を把握する関係者を巻き込んだ対応が必要になってくる」と指摘した。

 町民税務課担当者は「野良猫の実数は把握していないが、かなりの数がいると承知している。財源が足りなければ補正予算で対応する方針で、TNR事業を通じて野良猫の繁殖制限につなげたい」としている。

PETLIFE24事務局2023.08.15

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